どうすればやる気が出るのか
今回はどのようにすればやる気が出るのかというテーマでお話できればと思っています。
やる気が出ない、モチベーションが上がらないという悩みを持っている人がいらっしゃると思いますが、皆さんはいかがでしょうか。
四六時中やる気に満ち溢れているという人はいらっしゃいますか。
もちろん中にはそのような珍しい人もいらっしゃると思うんですけれども(笑)、やはり日々生きている中である程度のアップダウンがあり、波があるという人のほうが多いかもしれません。
たとえその波があったとしても、やる気という気力があり、頑張る力があるときはいいですよね。
ところが、やる気が出ずにモチベーションが上がらない状態が続いているときというのはなかなか苦しいものがあります。
本来望ましいのは、もちろん常にやる気に満ちている状態です。
それは間違いがありません。
やる気がない状態で人がハイパフォーマンスを発揮するのは実際難しいですよね。
プロのスポーツ選手などを見ていてもそうですし、会社の仕事などにおいてもそうだと思います。
ビジョンを持つこと
では、やる気を出すために必要なことは何なのか。
いくつかあるとは思いますが、まずは「ビジョン」です。
どういうことを実現したいのか。
何を思い描いているのか。
自分はどういう人間になりたいのか。
なりたい自分の姿や具現化したい世界はどのようなものなのか。
ビジョンというのはその「理想」や「夢」のことです。
それがあるかどうか。
これがまず最初で、かつ最も大事なことです。
それがなければ、人間はワクワクもしないですし、やってみようという力も湧いてこないと思います。
「少年よ、大志を抱け」というクラーク博士の言葉もありますように、大きな志、大きな夢を持つということ。
坂本龍馬などの明治維新の志士たちの言葉で言えば、「大義」というものです。
それらはすべてビジョンであります。
やる気が出ないときというのは、そのビジョンがなかったり、見失われてしまっているのではないか。
そのようなことが言えると思います。
最初はその理想に燃えてやる気に満ちて努力をしていたとしても、それを続けているうちにだんだん何のためにそれをやっているのかが分からなくなってきてしまうこともあるわけです。
目の前のやるべきことに振り回されて時間に追われているうちに、目的地がどこだったか忘れ去られてくるということです。
そのような状態になってくると、今、自分やチームが時間と労力をかけてやっていることは本当に意味のあることなのか。
そのような疑問が生まれてきて、モチベーションが下がってきてしまう。
ですから、時々立ち止まって、目的地やゴールを改めて見据えるということが大切です。
自分は、自分たちは、なぜ今ここにいるのか。
何を実現したいのか。
そのビジョン、理想、夢を思い返してみるということ。
それによって、やる気というエネルギーを取り戻していく。
それが一つ目です。
人生の春夏秋冬を知ること
二つ目は、人生の春夏秋冬を知るということです。
人間というのは、やはり努力や頑張りに応じた成果が見えないとモチベーションが上がらないものです。
思った通りの結果が出ている状態であれば、人間嬉しいものですし、さらに力を入れてやっていこうという気持ちになりますよね。
ところが、人生というものはいつもいつも順調に進むわけではありません。
新緑が伸びる時期もあれば、花が咲き、実を成す時期もあれば、葉を落として養分を溜める時期もあるわけです。
つまり、私たちの人生にも春夏秋冬のそれぞれの季節があるということなのです。
それは皆さんそれぞれのこれまでの人生を思い返していただきたいのですが、大きく見たときに数年単位で、好調な時期もあれば、不調な時期、我慢の時期があったと思うのです。
ずっと好調な時期が続くということもなければ、反対にずっと不調な時期が続くということもないです。
それは波のようにやって来るものであって、今が種を蒔く時期なのか、芽が出る時期なのか、収穫をする時期なのか、次の春に備えて力を蓄える時期なのか。
往々にして冬の時期というのはやる気が出ないわけであります。
そのときに焦らず、辛抱強く、忍耐するということです。
今は土の下で力を蓄える時期であると捉えて、小さな努力を続けていく。
そのような時期においては0か100かというような極端なことではなく、6割程度の力でも構わないので日々小さな努力を継続すること。
やる気が上がらない中でも歩みは止めず、花が咲く時を待つということですね。
これは人生を中長期的な視点で眺めるとも言えると思います。
自分の世界を拡大すること
三つ目は自分の世界を拡大してみることです。
やる気が出ないというのは、自分の小さな世界に閉じこもっているからではないか。
慣れ親しみ安心できる場所、立場に安住しているからではないか。
そんなふうにも思うわけであります。
日常生活であっても、仕事であっても、基本的には変わり映えのしないことの繰り返しの中で安定し、調和し、当たり前の幸せというものが生み出されてきます。
しかし、そのようなことがすでに当たり前のこととなって継続されているときに、それでもう十分なのだと現状に甘んじ始めたとき、人は退化、衰退の道を歩み出しているのです。
いわゆる現状維持というものがありますよね。
現状維持というのは、成長の放棄であり、そのまま行けば停滞していき、やがては衰退していくことを意味しているのです。
木というのは一年ずつ外側に新たな輪ができて、年輪が増えて木そのものが成長して大きくなっていきます。
それと同じように、私たちも新たな年輪を作り出すような生き方ができているか。
一年一年、着実に成長することができているか。
そのような年輪型の人生というものを生きるということ。
他人と比較して落ち込んだり、誰かのせいにするのではなく、一年前の自分自身と比べてどうか。
人間というのは、やはり心の中では成長し続けていくことを求め、それを喜びとして感じるように創られているのだと思います。
ですから、逆説的かもしれませんけれども、やる気が出なかったり、モチベーションが上がらないときというのは、この今のままの自分の状態では何か満足できないものがある。
つまり、心の奥底ではもっと成長したい、もっと進化したいという思い、願いが隠れているのではないか。
そんなふうに思うわけです。
そのために、自分の今の世界から外に向かって一歩を踏み出してみることです。
自分の世界の拡大ということですね。
これが三つ目です。
健康状態を保つこと
そして、最後になりますが、四つ目は健康な状態を保つことです。
これはまあ本当は一つ目と言いますか、ゼロ番目と言ってもいいのかもしれませんが、まずは健康でないとやる気は出ないです。
寝不足であったり、体調が悪かったりするときはモチベーションも上がりません。
これは考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、自らのエネルギーが不足しているときというのはやる気は出ないですよね。
ですから、健康管理というのも馬鹿にできるものではなくて、やはり物事を成していくための土台であると思います。
野球の大谷翔平選手は一日に十時間程度の睡眠を取っていると言われますけれども、睡眠というのは本当に大事です。
眠ることによって人間はエネルギーが充電されているのです。
しっかりと睡眠を取り、エネルギーの回復をした上でまた翌日を迎えて仕事に当たる。
また、食事というのもそうですけれども、身体を動かしていく上で必要な栄養はしっかりと摂取をする。
美味しいものを食べて、飲んで、元気が出るということも人間ですからやっぱりあるのです。
そのようなものも活力としながら、やる気を蓄えていくということ。
そして、健康管理というのは肉体的なものだけを言うのではなく、精神的なものもそうなのです。
心の健康状態をしっかり保つということです。
心が病んでいる状態とはどのようなものでしょうか。
それは愛と感謝を失っている心です。
心の中に愛の思いや感謝の思いがなくなり、自分さえよければいいというエゴの思いや他人のせいにする思い、自己保身、不安、恐怖、憎悪、怒りなどの暗い思いで満たされている心の状態です。
そのような不調和な思いではなく、明るく前向きで安らぎに満ちた思いを常に心に保つということが本当に大切なことです。
やる気を出すために必要なこと
今回はやる気を出すために必要なことということで、四つのことをお話しました。
ビジョンを持つこと。
人生の春夏秋冬を知ること。
自分の世界を拡大するということ。
そして、健康状態を保つということですね。
一つでも二つでも皆さんの人生のヒントになれば幸いです。