我慢できる人は強いです。
周りに合わせられる人も強いです。
しかし、自分らしく生きる人が一番強いです。
なぜなら、自分らしさとはその人の魂に直結しているものだからです。
自分がどのような期待や役割を込めてつくられた存在なのか。
それは簡単には分かりません。
しかし、それがだんだんと朧(おぼろ)げながら分かってきたとき、自分らしい生き方ができるようになってきます。
ある男性は、自分は人々を調和させることが得意な魂のようだと気づいてからは、それまでの生き方を改め、自分にとって最も自然な、自分らしい姿で生きるようになりました。
その男性は、自分の本来の個性に気づくまでは次のような人間を理想像とし、そのような人間になろうと努力を重ねていました。
その理想像とは、自分の意見を積極的に述べ、周りの人々を鼓舞し、引っ張っていくような人のことです。
言うなれば、積極的なリーダーの姿を手本として努力を重ねていました。
ところが、そのような人間になろうと努力を重ねれば重ねるほど、なぜか苦しくなっていくのです。
「うまくいかない……」
そのような現実を目の当たりにして、「自分にはよっぽど能力がないんだ」と気を落とすことも数多くありました。
そんなある日、男性はそれまで自分の内なる心の声に耳を傾けることがなかったことに気づきました。
それまでは周囲にいる先輩や知り合い、インターネットで流れてくる情報など外側のことばかりに目が行っていたのでした。
それから男性は夜眠る前にリラックスした状態で目をつぶり、心の中に潜っていく時間を作るようにしました。
それまでの人生を振り返り、強く印象に残っていることや家族や仲間から褒められた出来事など、様々なことが思い浮かんできました。
もう決して触れたくないというような嫌な思い出もありましたが、逃げずに真正面からとらえることにしました。
そのようなことを続けていると、ふとあることに気づきました。
「自分は人と人の間で角が立たないように、潤滑油のようになって調整することが得意なのかもしれない」
調和をもたらすということは、その男性にとっては何も特別なことではなく、自然とそのようなことができていたため、自分では特に意識もしていなかったのです。
ところが、周りの人を見ていると、どうやら誰でもできることではないらしいということに気がついたのでした。
積極的なリーダー像というのも自分が本当になりたいと思っていたのではなく、そのようなリーダーとして活躍している会社の先輩と自分を比べて、そのようにならなければいけないと思い込んでいただけだということに気づきました。
それからは自分の本当の魂の個性を見つめて、誰かと比較することもなく、自分らしく伸び伸びと生きられるようになりました。
無理のない自然体で生きられるようになったので、身体の中に一本の芯が通ったように生き方にブレがなくなり幸せを感じることが増えました。
このように、魂からくる本当の自分らしさに気づけると、自分らしく生きることができます。
周りの情報などに踊らされるのではなく、自分の心の中に深く入り込み、内なる声に耳をすますことで、本来の自分らしさを発見することができるのです。