「上善は水のごとし」とは、中国に生まれた老子が説いた教えです。それは「最高の善(生き方)は水のようなものである」という意味です。
原文では、次のように続きます。
「上善若水。水善利万物而不争。処衆人之所悪、故幾於道。」
これは「最高の善(生き方)は水のようなものだ。水は万物を利するが争わず、人々が嫌うような低いところに身を置く、だから道に近い」という意味です。
水はどのような姿で、どのような性質を持っているでしょうか。
水は万物を潤しつつも、決して争うことがありません。多くの生き物を育みながらも、自己主張することがありません。自らの存在を通して自分以外の存在を生かし、育んでいるのが水というものです。
また、水は低いところへ流れていき、そこに自らの身を置きます。人間というのは高い地位を求め、相手より有利な立場に立つことを求めがちな中で、水は他と争わずに低きを当たり前としています。
果たして、私たちはそのような生き方ができているでしょうか。
水に現れている姿を見習い、そのように生きること。
それが最高の善、最高の生き方であります。
ちなみに、老子が言われている「道(タオ)」とは何でしょうか。
それは宇宙を生成・消滅させる根源的な原理であり、目に見えないエネルギーや法則のことです。
つまりは、大宇宙の神のことを言っています。神とは宇宙を貫く愛の摂理であり、愛の法則そのものです。
自然の中に神のお姿を見る。
そのお姿から、私たち人間のあるべき生き方が導かれます。