勝五郎の生まれ変わりの話

永遠の魂

前世を覚えている子ども

私たちは生まれる前のことやあの世の世界のことは覚えていないのが一般的で、人間には前世や過去世があると言われても信じられないという人が多いかもしれません。

ところが、子どもたちの中にはそれを覚えている人もいます。

日本でも、勝五郎の話として有名な生まれ変わりの事例があって、国学者の平田篤胤が『勝五郎再生記聞』として書物にまとめたり、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が『勝五郎の転生』として書物にまとめてアメリカやイギリスで発表したりしています。

今回はその話をご紹介したいと思います。

勝五郎の生まれ変わり事例

1815年(文化12年)、中野村(現在の東京都八王子市東中野)に八歳の勝五郎という少年がいて、次のようなことを話し始めました。

勝五郎は自分は今の家に生まれる前に、前世では程久保村(現在の東京都日野市程久保)に藤蔵という名で生まれて、そのときの父親の名は久兵衛で、母親の名はしづだったと言いました。

当時、程久保村にいた藤蔵は六歳のときに病気で死んで、棺桶に入れられて山の墓地に埋められました。

そのときに藤蔵の魂は肉体から抜け出して、父親の久兵衛や母親のしづがいる家に帰りましたが、泣いている母親に声をかけても自分に気づいてくれませんでした。

それから藤蔵は白いひげを生やしたおじいさんに連れられて、山や川をふわふわと飛んだり、花が咲いているところへ行きました。

まだ数日しか経っていないような気がしましたが、白いひげのおじいさんから「三年経ったから、この家に生まれるのだ」と言われて、藤蔵は母親のお腹に入り、勝五郎として生まれました。

そのような話を勝五郎がするので、家族はとても驚いていたのですが、勝五郎が「程久保に行って、久兵衛さんのお墓参りがしたい」と言うので、祖母のつやが勝五郎を程久保村へ連れて行きました。

村に着くと勝五郎はここらへんはよく知っていると言わんばかりに祖母を案内して、一軒の家にたどり着きました。

そこで祖母が聞いてみると、勝五郎の言う通り、その家には以前に六歳で亡くなった藤蔵という名の子どもがいたことが分かりました。

そして、勝五郎は「前はあの木はなかったよ」などと言って、当時とは異なる点を言い当てたりして人々を驚かせました。

生まれ変わりは真実だと語る研究者たち

この話は当時の人々にも広く知られることになり、最初にも触れたように平田篤胤やラフカディオ・ハーンが書物にまとめるなど、勝五郎の生まれ変わりの話として有名になったのでした。

転生の話というのは人によってはフィクションや作り話のように思う人もいるかもしれませんけれども、世界中にこういう話はたくさんあるんですね。

たとえば、アメリカで生まれ変わり研究の第一人者と言われているバージニア大学医学部のイアン・スティーブンソン博士(1918-2007)などは、世界中を回り、過去世を語る子どもの事例など、数多くの生まれ変わりの事例を集めて発表しています。

スティーブンソン博士の研究所には、二千六百を超える生まれ変わりの事例が蓄積されていて、生まれ変わりというものが真剣に論ずべき科学的問題であると認識されています。

また、トロント大学医学部のジョエル・L・ホイットン博士なども生まれ変わりが真実だという証拠については有力なものがそろっている現在、理論的にそれを認めることに特に問題はなく、どうか皆さんも私と同じ結論に到達されるように願っていると言われています。

それはすなわち、私たちはかつて前世を生きたことがあり、今回の人生は永遠に続く鎖のほんの一部であり、来世もまた生きていくということです。

勝五郎の話から見えてくる魂と霊的世界

勝五郎の話の中で、藤蔵は六歳のときに死んで肉体から魂が離れた後も両親の家に帰ったりして藤蔵自身の意識を保っているように、人間は肉体がなくなっても意識がなくなることはなく、魂のほうが本来の自分自身であるのです。

魂というのは永遠の命を与えられており、肉体の目には見えませんけれども、死ぬことなく消滅することなく生き続けていきます。

そして、藤蔵が死んだ後、山や川をふわふわと飛んでいるように魂は自由自在な存在です。

人間は死んだらあの世に帰って行きますが、多くの人は四次元の幽界と呼ばれるところに行きます。

そこで今回の人生を振り返り、反省をした後、生まれる前に元々いた世界に帰っていくか、もしくはさらなる反省が必要だと自ら判断して地獄へ行く人もいます。

四次元の中には精霊界という世界があり、そこは一面に花が咲いている花畑のような場所で、妖精や鳥や虫たちが住んでいます。

藤蔵が白いひげのおじいさんに連れられて見た世界というのはこの精霊界のことです。

そして、その白いひげのおじいさんというのは、おそらく藤蔵の守護霊です。

人が死んだときにお迎えが来るとよく言われますけれども、すでにあの世に帰っている家族や友人などが迎えに来ることも多いですが、その中で自分に最も近しい存在が守護霊であり、死んだ後あの世に導いてくれる存在でもあります。

守護霊とは自分の魂の一部であり、魂の兄弟です。

私たちがこの世で生きているときはなかなか気づきませんが、地上で生きているすべての人に守護霊がついて、インスピレーションを与えたり、正しい人生を歩めるように常に導いてくれています。

転生輪廻を繰り返し、永遠の時の流れの中を生きている

勝五郎の魂が藤蔵という名前で肉体を持ったり、勝五郎という名前で肉体を持ったりしているように、人間というのは何度もあの世からこの世に生まれ変わってきてはそのとき、そのときで異なる肉体や名前を持ち、人生を終えればまたあの世に帰っていきます。

この世に生まれてくるときにそれまでの記憶を消してくるので、普通はあの世のことや前世、過去世のことは覚えていません。

しかし、実際には私たちはあの世からこの世に生まれてきて、それぞれの人生の課題に取り組み、またあの世に帰っていくというサイクルを繰り返し、永遠の時の流れの中で死ぬことなく、魂を進化成長させているのです。

それは勝五郎だけではありません。私たち自身も転生輪廻を繰り返し、何度もこの世に生まれ変わってきているのです。

【参考】
勝五郎生まれ変わり物語 https://umarekawari.org/story

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